キャラ設定前編

前仕事中に考えてて設定中にお亡くなりになったキャラを考え直したやつ。
まだ途中だけど。
マシュー・リード
 銃の名手であり、SWATに所属、出世も順調であり順風満帆の人生を送っていたマシューが道を踏み外したのはあるカルト組織に関わったときのことだった。終末思想を奉じ、天国での幸福を唱えていたあるカルト教団が、教祖の予言した最後の審判の日に集団自決を計ったのだ。かねてより地域住民と衝突を繰り返し、過激な言動で世を騒がせていた連中に眼を光らせていた州警察は内通者から連絡を受けて、事前に待機させておいたSWATチームを突入させる。
 熾烈な銃撃戦ののち、覚悟を決めた教祖が寺院に火を放ったため撤退を余儀なくさせられることとなった。なんとか保護した一般信者やその家族を避難させていた時に事件は起こる。誘導をしていたマシューの視界の片隅で、一人の女の子がうずくまっていた。周囲には突入の際に使用した催涙ガスと、建物奥からやってくる煙がたち込めていたため、煙を吸い込んで動けなくなったのだろうと思い携帯酸素吸入器を手にしながら近づいて声をかけた。「大丈夫か?しっかりするんだ」女の子が身じろぎするのを確認すると、ボンベを口にあてる。「さあ、ゆっくりと呼吸するんだ」。その時、その娘が顔を上げた。まだ十代前半くらいだろう、非常に整った顔立ちですすで汚れていてもその輝きには陰りが無かった……。その刹那、マシューが心を奪われたほんの一瞬だった。小口径のものならば銃弾だろうがたやすくはじく筈のフェイスガードに1本のフォークが突き刺さり、マシューの左目を貫いた。
 喉をつく叫び声。離れた所から同僚の声がする「おい、どうしたんだ。何があった?」。マシューにも、自身に何が起こったか理解できたのは、女の子がフォークを捻って左目を抉り取り、マシューが新たな激痛を感じる中で、微笑を浮かべながらフォークを口元へ運ぶ模様を残った右目で見つめていた時だった。恐慌を来たし、左手で焼け付くような痛みを脳に伝え続ける傷口を押さえ、右手で銃を抜き放つマシュー。駆けつけた同僚の目に映ったものは、絶叫を上げながら弾丸を撃ちつくしてもなお引きがねを引き続ける狂乱した男と、血まみれになって横たわる女の子の姿だった。
 結局、火の手の周りが早く、女の子は回収できなかった。駆けつけた男一人では、半狂乱のマシューを殴りつけ、手錠までかけて外へ引き摺り出すので精一杯だったのだ。後に何故女の子を持ち帰らなかったのかを問われた男は、「誰がどう見てもあの子は死んでおり、それよりもマシューを連れて帰って法の裁きを受けさせるべきだと思った」と語っている。
 片目を失いながらも帰還したマシューを待っていたのは、激しい糾弾と怒りにも似た軽蔑に満ちた周囲の視線だった。彼は正気を取り戻すと必死に事情を説明したのだが、受け入れられる訳も無く。逆に少女をレイプしようとして抵抗され、眼を失ったのではないかなどとあらぬ疑いをかけられる始末。しかし二日たって鎮火した寺院跡から少女の遺体は見つからず、教団の生き残りもその少女の存在を否定したため、マシューの処分は立ち消えになってしまった。
 マシューは事件後も自分の無実を主張して職に固執した。彼は自分が間違った事をしたとは思っていないのだから当然だろう。だが、彼の左目を奪った事件は様々な憶測を生み、前述のようなレイプ疑惑と相まって、彼を苛み、また周囲が彼に背を向けるようになるのも当然の事態だった。そして、事件後すぐに別れたはずの恋人がやってきて「あんたのせいであたしまでこの街に居られなくなったじゃないか!このケダモノ!」と面罵し、手近にあった置時計を投げつけてくるに及び、彼も、もうこの場所に居るべきでは無いという事がわかった。