短期集中連載「俺と牧夫」第惨回『紅と白2』

昨日はお休みしてしまったのだけど第惨回。
なんかまとまりがなかったり、あちこち矛盾がでてきてますが、仕様ですのでスルーよろw
とりあえず歴史は今回で終わりなので、次回からはクラスや種族について書く、のかなぁ?


いくさは辛うじてルーベルの勝利に終わる。
だがこれを勝利と呼べるのだろうか?
大戦後僅かながらも文明を維持していたルーベル達は、“巨人”の襲撃により最早絶滅寸前だった。
この悲劇をもたらしたアルブス達を根本から排除しようと主張する者も居たのだが、ルーベルの減少はいかんともし難く、逆にアルブスに強く依存せざくを得なくなってしまった。
異論は退けられ、アルブス達は以前よりも高い知性が与えられ、多くの権利を有するようになる。
ルーベル達はグレゴリアンに作られた人工頭脳を彼らの代理としてアルブス達を導くようにしむけた。
相変わらず彼らに子孫を残す能力は無く、工場で生産された彼らは、社会を作り、家庭を持つ事を許されたアルブスの親の元へと送られる。
そして、支配はより巧妙な手段を取るようになる。
アルブス達のまなこにはとばりが降ろされた。
彼らの脳は、グレゴリアンの事物を認識しなくなったのだ。
忌まわしき隷属の記憶は取り去られ、彼ら自身がこの大地の支配者であると誤認させられる。
やがてきたる真の支配者たちの帰還に備えて、大地を浄化するという使命のために。
そしてルーベルたちは歴史の表舞台から姿を隠した。


だが、彼らの手は至る所に届き、彼らの目は至る所にある。


アルブス達は自身がどこから来たのか知っている。
しかし、だれが、何の目的で、彼らをそこに誘ったのかはわからない。

隠された造物主の記憶、それが彼らの心を蝕む。
アルブスはさまざまな姿を持って生まれてくるが、その意義は誰も知らない。
彼らにも当然夢があり、目的があり、使命がある。
自らが望んで選んだと信じているそれは、その実全てルーベルの手によって調整され、与えられたものなのだ。
紅き血の人間が居る事は知っているが、会った者は居ない。
彼らを道具の如きに扱っていたルーベルは去った。
だが糸はまだ切れていない!
舞台の陰からはアルブス達を操る糸が伸びているのだ。


そして、アルブスの絶滅を誓ったルーベルもまた、活動を続けている。
かつてはルーベルにとっての禁忌だった人体魔改造を自らに施し、アルブス達をも超越する力を身につけた彼らはパシオンという。
彼らが時折引き起こす大殺戮は誰ともなしに「赤色テロ」と呼ばれるようになった。
彼らは、自ら手を汚さずに、かつての操り人形達を狂わせ、同胞を傷つけさせる事を好む。
「人形を破壊し、それを片付けるのは人形の役目ではないかね?」


秩序を望む、隠れたるルーベル達はこの事態に対して、一つの決断を下した。
毒を以って毒を制す。
彼らだけの力ではギガースを動かす事は出来ない。
そこで最初の反逆者がそうであったように、アルブス達の潜在能力を開放させ、その魂を燃料としてギガースを使用させるのだ。
問題はチャクラを開いたアルブスは、ルーベルの覆いが取り払われてしまう、と言う事だった。
しかし物事は支配者達に有利に働いた。


ギガースの搭乗者はやがてその魂を全て吸い取られ個体としての死に至る。


反逆の意を表したものは、ギガースに吸収させれば良いのだ。
代わりならば幾らでもある。
調整に調整を重ね、より高出力、高純度の魂を精製する。
その過程で、さまざまな能力を持った覚醒者たちが作り出された。
ギガースを制御するため精神同調能力を持たせた物、単体戦闘能力を極限まで引き出した物、放射能に汚染されナノ単位まで微細機械によって汚染された世界で生み出された魔法を操る物、など。
彼らを生み出した成果は、やがて“完全なる紅き血の支配者”達の復活のために役立てられる。
そしてパシオンとの戦いはルーベルにとって、言わば兵器の実験場となった。
殺すのもアルブス、殺されるのもアルブス、殺すものを殺すための兵器もまたアルブス。
彼らは傷つかない。
天空の高みから、実験結果が出るのを待っているだけなのだ。
彼らが気にかけるのは、自らの研究成果くらいだろう。


その慢心こそが彼らの命取りとなる。
クルースニクはルーベルの支配に逆らい、彼らと戦えるのだ。
その力も与えられている。
だが、心を見られてはならない。
反逆の気配あり、と読まれた瞬間、廃棄処分にされるだろう。
いつの日にか造物主と訣別し、自らの足で大地を歩くその時まで、ひたすらに耐えなければならない。
自らは倒れても、やがて後に続くものが、いつかはその場所に辿り着くと信じて。


これは戦いの物語である。