小ネタ4 「過去からの旅人」

恵栖二市の漁港、恵栖二湾に巨大な鯨が迷い込む。
浅瀬に身を捕られ、身動きが取れなくなった鯨を海に戻そうと役所やボランティア団体が動き出し様々な手段を講じた。
その過程で鯨の腹から男が一人吐き出される。
一切の言語が通じない男は、地面に楔形文字を記す。
呼び出された言語学者が、それを古代バビロニアのものだと断定した時から話はややこしくなった。
“ヨナ”と呼び習わされるようになったその男を巡って、医者に学者に芝居小屋までが関わって男の略奪戦が始まる。
紆余曲折あって、男は現代を見限り、「次の千年紀で会おう」と言い残し、再び鯨の腹へと帰っていく。