小ネタ5 恵栖二スラム

恵栖二市港湾部の一角には、お上品な市民をして“ゲロ以下の掃き溜め”、“恵栖二の恥部”と呼ばせるスラム街がある。
麻薬の蔓延、難民の流入、犯罪組織の専横など、ありとあらゆる悪徳がはびこっており、警察も手が出せず半ば治外法権化している。
元は漁港の一部だったのだが、地理的条件の不備から再開発が遅れ、他地域の発展から取り残された上に様々なツケをまわされ、一切公の手が入らなくなった所に難民や犯罪者が流れ込んだのだ。
警察はスラム街から外へ犯罪者達が出ないようにゲートを作って監視するのが精一杯で、内部の治安維持までは手がまわらなかった。
制服警官が足を踏み入れれば5分と持たなかったからだ。
今スラムを二分する大きな勢力があり、あちこちで小競り合いが起こっている。
かたや港の近くにある中華街を根城とする架橋、彼らは港湾労働者にも強い影響力を持っている。
そしてもう一方は生臭く濡れそぼった魚ッ面のインスマスからの移民の子孫。彼らの結束は並大抵のものではない。