キャラ設定後編2

まあ普通に続く。
昨日の千年戦争編は忘れてください。
なんとなく自分の中で記念碑的存在なので消さない事にはなりましたが。
後編2

 マシューが再び意識を取り戻したのは暗い窓の無い小部屋の中で、肌着とトランクス一枚で横になっていた。独房と言っても差し支えの無い部屋で、頑丈な鉄の扉の下には食器を出し入れする戸がついており、調度は固い寝台に古い毛布が一枚、部屋の隅にトイレがあるだけだった。
 扉を叩きながら大声を上げるマシュー。「おい、ここは一体どこだ。俺をここから出せ。どういうつもりなんだ、おい、誰か居ないのか。クソッ出せってんだ。おぉい……」10分も人を呼び続けたら疲れて喉も渇いたのでやめた。寝台に戻り、毛布をかぶって考える。あれからどれくらい経つのだろう?あの女は一体何者だったんだ?突然連絡が途絶えたジョ−ジ達は大丈夫なのだろうか?考えは何一つまとまらず、そのまま横になって眠りについた。
 誰かの呼ぶ声が聞こえて目が覚めた。見た事の無い女がマシューの顔をぺちぺちと叩いている。呻き声を上げ、手を払いのけようとした所、両手が後ろで手錠をかけられている事に気付いた。「目が覚めたみたいですよ」そういって、マシューの顔を叩いていた女が身をどかせて横にまわった。どこかで見たようなツナギを着ていたが、背の高さ、腕の太さ、なにより毛深く無い点がマシューの記憶にある女と一致しなかった。そして白衣の男が進み出ると診療器具を持って、寝台の端にかけ、マシューの顔を覗き込む。「それじゃ診察しますよ。服を上げてもらえますか?」「はいはい」そう答えたのはツナギの女である。軽く返事をするとマシューの肌着に手をかけてはだけさせた。「なにすんだ!」「あー、ちょっと大きく息吸って止めてください」「人の話聞けって」「おじさんなんか臭いねえ。きちんと体洗ってる?」「嫌なら離せ!」無理に振りほどこうと足掻く。女か医者か、どちらかでも人質に取れればこの場を脱出できるかもしれない。と思ったのだ。「いい加減にしないと……怒るよ?」突如として、女がマシューを掴む力が桁外れのものとなる。先ほどまでは弱った体でも充分跳ね除けられると思っていたのが、今は鉄の塊でも相手にしているかのようだった。圧倒的な力でねじ伏せられ、しかも相手が片手しか使っていない事に気付いて逆らうのを諦めた。毛深くなってて毛が痛いし。「なっ、お前何者だ?」顔を横へ向けようとした所、空いている手で頭部をガッシリと抑え込まれ、正面を向かされた。額に食い込んだ爪が痛い。「今はあまり人に見せられない顔してるの。こっち見るな」声もさっきまでと同じ人物が発しているとは思えない。低く、カツゼツが悪く、歯の隙間から息が漏れているようだ。その音を聞いて反抗する気が失せた。唯々諾々と医者の要求に従う。
 採血が済み、一通りの検査が終わったのか、医者が診療器具を鞄に詰め込んだ。「見たところどうでした?」まだマシューを抑えているツナギの女とは別の声が背後から聞こえた。姿を窺うことは出来ない。「肉体は既に随分と消耗しているようだねえ。3,4日というところだと思うよ」とは医者の弁。「4日後はちょっと都合が悪いですね。仕方ありません。叔父様には6日ほど我慢してもらいましょうか」と姿の見えない女が言う。「まあ6日でもなんとか持つとは思いますが……」と言いよどむ医者。「ではそういう事で。いきましょうか」背後で手錠が外されるのがわかったが、動こうとする前に独房の奥へと突き飛ばされて壁にぶち当たる。身を起こして入り口を見やった時にはもう扉は閉まっており。錠が卸される音が聞こえた。
 そしてそれからの6日間、マシューに与えられたのは水だけだった。食事は一切与えられず、日に一度水差しが取り替えられる。飢えがマシューを苛んだ。ここに閉じ込められる前の二週間ほども、酒ばかり飲んでいてろくに食事をとっていなかったのだ。体に全く力が入らない。今扉が開いていたとしても逃げられたものでは無いだろう。思考能力も鈍っていく。この飢えを満たせるなら魂を売っても良いと思った……。