そして続き

なんつうか困った事に、色々思いつくのだが書いていて楽しくない。
いやほんと困ったものだ・・・・・。
とりあえず、1章の1です。

1−1.家族の肖像1
日本で生まれたのだけど、僕には故国というものが無い。
僕はエスニ市の港湾部にあるスラム街で生まれた。
母は日本の近くにある独裁国家からの難民だった。
父は知らない。
彼女は路上で体を売って生活してたので、客の誰が父親なのかはわからなかった。
客を取る度に、父が着たから、と家から出ているように言われた。
特定できないのならその通りなのだろう。
僕には年の離れた兄が居たが、同じように父は居なかった。
だから父親という概念を大きくなるまで理解できなかった。
周りには同じような子供たちしか居なかったし。
その母もある時、ジャンキーに刺され、雨にうたれながら死んだ。
スラムにも医者は居るのだが、そんなのに掛かれるのはスラムでも比較的まっとうな連中だけで、僕達のようなそれ以下は存在しない最下層民なんか鼻にもひっかけられない。
でも、兄は諦め切れずに医者を呼びに行った。
驚く事に、医者はわざわざ雨に打たれながら急いで往診に着てくれたのだ。
医者はまだ辛うじて息が残っていた母を診察すると、眼鏡の奥から嫌らしそうな光を目に湛えながら兄に向き直りこう言った。
「もうこれは助かりそうに無いねえ。で、相談なんだけどお母さんの臓器を私に売ってくれないかい?」


……


そのお金で10日間は食い繋ぐ事ができた。
10日目に自警団を名乗るヤクザ者どもがやってきて、残ったお金を巻き上げていった。
抵抗した兄は肋骨をへし折られたのだが、今度は医者は着てくれなかった。